「勝ち組・負け組世代で色々と痛い思いをしてきた」
そんな風に思っている方は共感できる部分があると思いますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
独身女性が競争社会の中で感じる生きづらさについて
私が社会に出たのは、ちょうどメディアなどで「勝ち組・負け組」という言葉がもてはやされていた時期。
一歩社会に出ると、「学歴はどれくらいか」「彼氏はいるか」「結婚はしているか」ということから、女性たちの間で自ずと階層がつくられていくように感じていました。
特に強く感じていたのは「守るべきもの(=子ども)がいる女性は、それを武器にできる」ということ。
そういう女性は強くいられるから「勝ち組」になれるという暗黙のルールができていたような気がします。
社会に出てから、そんな風潮を感じてきたという女性は私だけではないはずです。
特に私の場合は職場に女性が多かったので、「独身・子なし」であることが生きづらさをさらに強くさせていました。
今でも忘れられないのが、以前、働いていた会社で会議が開かれた時の出来事です。
産休を終えたばかりのAさんが、出産・子供の話をし始めたところから話が色々と脱線し、私に向かってこのようにいいました。
「えみっきーさんは、まだ子ども、間に合うよ・・・あ、ごめんなさ~い(笑・笑・笑)」
ちょうど私はその頃30代前半。重度化した婦人科の病気が見つかり、不調を抱えながら何とか会社に勤めていた時期でした。
私が患った婦人科疾患についてはこちらの記事に記載しています。
えみっきー 「生理痛が年々ひどくなる」 「心身の不調が続いている」 という方は必見! この記事では、私の子宮内膜症体験談をご紹介します。 子宮内膜症の体験談:学生~社会人[…]
その時期の私にとって、彼女の皮肉混じりな言葉をサラッと受け流すことは容易ではありませんでした。心が痛むとはこういうことかと・・・。
決して子どもがいない人生を望んでいたわけじゃない。ただ色んな条件が重なってこのような結果になってしまっているのに・・・。
こうして、しばらく私の心の痛みは続きました。
しかし今冷静に考えると、相手をさげすむことでしか優越感を感じられないAさんも、心に余裕のない生活をしていたのかもしれません。
子どもを産んで後悔?母性のあるべき姿と、世の女性たちの本音
少し前に、母親と子どもの関係性にまつわる興味深い映画を観ました。
それはベストセラー作家・湊かなえさんの小説が原作の『母性』。
娘を愛することができない母親役:戸田恵梨香さんと、その母親の愛情を求め続ける子ども役:永野芽郁さんのミステリードラマです。
まずはこの映画を読んだ感想からお話しします。
正直、戸田恵梨香さんの役どころはとても理解しがたい部分がありました。
母親には愛されて育ったのに、子どもができても愛情を注げないなんてことがあるんだろうかと。
子どもを産んだからには、母親として精いっぱい愛情を注いで子供を育てるのが務めだと感じたのです。
しかしそこがまさに盲点でした。
湊かなえさんはこの映画のインタビューで、母親という定義についてこのように語っています。
母性といっても、一言ではっきりと定義づけられるものはないと思っていて、虐待事件などが起きたときに“愛されたことがないから母性がないんだ”とか、簡単に決めつけられることではなく、個人個人で違っていて、むしろ愛されることが当たり前だったから、どう愛していいかがわからない人もいるのではないか。自分が誰かを愛したり守ったりするのではなくて、永遠に守られ続けたいって願う人がいるのではないか。
参考URL:クローズアップ現代HP
確かに、女性だから母性があるのは当たり前で、誰もが順調に子どもを育てられると考えるのは間違った考え方なのかもしれません。
また湊かなえさんは、世の中にはうまく子育てができなくて母親になったことを後悔している人もいるのだと語っています。
私はそれを知った時、世間の風潮におどらされた偏った考えで物事を考えるのはやめようと思いました。
女性が持つ母性の大切さと、現代の問題点
私は母性というものについて、以前から関心を持っていました。
きっかけとなったのは、大学生の頃にヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ著作の戯曲『ファウスト』を読んだこと。
誘惑の悪魔メフィストフェレスのもとで欲望のままに生き、堕落したファウスト。
その彼を最後に救うのが「聖母」の存在でした。
物語の最後は、神秘の合唱でこのように締めくくられます。
すべて移ろい行くものは、
永遠なるものの比喩にすぎず。
かつて満たされざりしもの、
今ここに満たさる。
~省略~
永遠にして女性的なるもの、
われらを牽きて昇らしむ。引用:ファウスト(二)(新潮文庫/著者:ゲーテ)
この「永遠にして女性的なるもの」(下から2行目)が、まさしく母性であるのだと大学の授業で学んだのを覚えています。
つまり母性こそが、この世界の根源であり、唯一の救いになるものなのだと。
正直、学生時代は教授が何をいいたいのかがよく分かりませんでした。
しかし虐待や殺人事件など多くの問題が起きている今、あらゆるものの根底にあるものは母性なのではないかと私は強く感じています。
逆をいうなら「母性の欠如」こそが、現代社会で問題視すべき点であると思うのです。
夫婦で働く人たちが増え、保育園での虐待などが増加しつつある昨今。
母性を持って子どもに愛情を注いでいるお母さんは、どれだけいるのだろう。
私たちの世代は、子どもを「所有物」にして、自分が強くいられるための「武器」にしている人が多い気がするのです。
独身・子なしでも生きがいは見つけられる!そのワケは?
仮に私が子どもを産めていたとしても、もしかすると、きちんと母性を持って育てられなかったかもしれません。
しかし今でも女性として子どもを産んでみたかったという思いは拭いきれずにいます。
分娩台で涙のご対面をしてみたかったし、成長するまで思い出をたくさん作って楽しく過ごしたかった・・・
そんな風に思って悲しくなることもあります。
ですが私は今まで、自分の与えられた人生を全うしてきたという自負があります。
それに母性を持って愛情を注げるのは、自分の子どもだけではないと思うのです。
動物を育てたり植物を育てたり。
人に優しく接したり、励ましたりすることだって、母性が関わり合っていると思います。
自分にとっての生きがいは、子どもを産む・産まないに関係なく見いだせるものです。
まずは与えられているものに感謝して、できることに全力で取り組む。それが本当の「人生の勝ち組」になる秘訣ではないでしょうか。
私の思いが、同じような思いを抱える方の心により添えたら嬉しいです。